岩手ピアノ教室【ハルモニア】高橋麻利子
2023年4月発表 「ブルクミュラー25練習曲」指導法の研究~作曲家の意図を探り、効果的に練習する
専修大学北上 福祉教育専門学校 研究紀要
ピアノ学習者必須のテキスト
ピアノを習った人であれば、子ども時代誰もが憧れ、勉強するテキスト「ブルクミュラー25の練習曲集」
40年ピアノ指導を行ってきて、このテキストの素晴らしさ、芸術性の高さの魅力は尽きることがありません。
このテキストの指導法について、まとめました。
初歩の段階からアナリーゼ(分析)の指導をする
私が高校時代、東京に行って驚いたのは、
自分はアナリーゼ(分析)の指導を全く受けていない!ということでした。
もう時効なので書いても良いでしょう。
はい、私は東京に行くまで、ピアノ指導において「分析」というものをするレッスンを受けてこなかったのです。
愕然としました。
今、この論文を発表して、言います。
作曲家の意図を探ること、曲の分析をすること。
これは、音大受験曲レベルだからやるのでなく、初歩の曲からやるべきです。
なんのためにこのエチュードをやるのか、どうしてこのような練習が必要なのか・・
私は、しつこく子どもたちに話します。
ブルクミュラー連続暗譜演奏をする、その後古典派の勉強をする、のは、初歩の練習曲の段階でこれを意識した指導をするからです。
目的がわかっているので、面白いと思って自主的に練習する子になります。
幼児教育に専門性は必要ないのか?
ここ岩手に住んでいまして、幾度となく言われました。
「幼児教育に専門性は必要ありません。」
面倒くさいので、「はい・・はい・・」と返事だけして、心の中で憤っております。<現在進行形>
面と向かって反論しないのは、私と正反対の考えがあり、それは何十年にも渡ってそれぞれ培ったものだから、自分の考えを理解してもらおうとは思いません。わざわざ私に仰るのは、「防御」であり、私の防御の仕方とは異なります。
専門性のある人とお付き合いがなかった、その道の本当のプロ、と言われる人とお付き合いがなかった、あってもその素晴らしさに気づいていなかった、ということです。
壁紙を貼るプロ、道路を舗装するプロ、庭をデザインするプロ、お米を作るプロ、髪の毛をカットするプロ・・
世の中には、勲章や表彰状をもらわず、ひっそりとその道のプロが多数存在します。
メディアに出ていて有名だから、ではありません。
ごく身近に、そういう人は存在して、それに気が付けるかどうか。
おはぎを作る名人、だっているじゃないですか。絶対この方のおはぎは美味しい、っていう。
人知れず人の何倍も何十倍も努力し、その作品の美しさは細部に現れます。
細部が気づけない人は、違いがわかりません。
ピアノレッスンで、お辞儀の仕方、ご挨拶の仕方、そこまで指導するのは、細部にこだわれないと美しいものは作れないから。
細部の違いがわかると、年齢を重ねると楽しみの幅が広がる、ということ。
幼児期が人生を決める
幼児期はとても大事。
この時期に、なんの専門でも良いから、その道に拘る人と接することは、人生の楽しみの幅を広げると思います。
優れた人は、幼児期の過ごし方が違います。
赤ちゃんのときに、幼児教材のビデオを流され続けて来た子は、弊害が出ている、と発表ありました。
脳が飽和状態になっているのです。
早期教育の在り方は、真摯に勉強している専門家の意見を聞かないと、とんでもないことになってしまいます。
優れた音楽家が出る東欧、北欧の音楽教育は、初期の指導ほど、優秀な先生を置きます。
昔、フィンランドの先生に伺ったのですが、音楽だけではなくて、数学や美術、その他、小さい子たちの指導に、その教科専門高学歴の優秀な先生を置いているそうです。
そのくらい、幼児期の指導者の影響は大きい、ということ。
幼児期にどういう人が回りにいたか、は一生を決めます。
子ども用テキストであるブルクミュラーが、時代や国を超えて愛されるのは、芸術性が高いからです。
「専門性は必要ない」、「ブルクミュラーくらい弾ければいいのよね」って、そりゃ違う。
ブルクミュラーが泣きますよ。
ブルクミュラーがなぜこのテキストを作ったか、そこまで探っていない。
幼い苗木が大木になるように、しっかり根を張らせてあげる。
人を育てる、とはそういうことだと思います。
ピアノ教育を通して、心のエンジン部分となるものをしっかり育てます。
ブルクミュラーがこの練習曲集を作った意図は、子どもたちに心豊かに育ってほしい、という願いに他ならず、それがやがてベートーヴェンのピアノソナタなどへの過程となります。
専門性の片鱗に触れ育った子は、何においても根気よく、丁寧、エネルギーのある子に育ちます。
それが芸術、の力です。
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心が育っていないと、何事も極められません。 スポーツ、勉強、仕事・・なんだってそうでしょう。ある程度まで行きますが、それ以上伸びない。伸びない原因が、自分ではわからない。何かが違う、と気づくけれど、何 ...
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論文を書くにあたって、約40年間、私のもとでブルクミュラーを勉強してくれた生徒たち、サポートしてくださった保護者の皆さま、生徒にレッスンしてくださった音楽大学の先生方に、心よりお礼申し上げます。
茶々丸 9歳になりました。
赤ちゃんの茶々丸に、「胸がいっぱい」と初めて会った〇ちゃん、
私の後輩、高校2年生になりました。
みんな、可愛がってくれてありがとう。
岩手県北上市・花巻市 ピアノ教室【ハルモニア】
TEL 08084933718